選挙で得票数に小数点を生む按分票とは?計算方法や具体例も。

選挙で得票数に小数点を生む按分票とは?計算方法や具体例も。

選挙で得票数に小数点があるのはなぜ?名前や苗字が同じ候補者が複数人いたらどうなるの?
そんな疑問を感じたことはありませんか?

実はこれ、両方とも按分票という制度が関係しているんです。

この記事では、按分票とはなにか、計算方法や実際に話題になった選挙事例などをまとめて解説します。

按分票とは

按分票とは

按分票とは、1つの選挙区で同姓もしくは同名の候補者が複数人いる際などに、投票先がどちらか判断できないために候補者間で分配された票を指します。

また、この票の分配のことを按分といいます。

1人1票にも関わらず、選挙の開票結果で得票数に小数点が生じる場合がありますが、これは按分票が生じたために起こる現象です。

詳しい計算方法については、このページの次の項で解説しているのでこちらをご参照ください!

候補者間で按分票が生じる例としては、以下のような場合が挙げられます。

  • 「佐藤 太郎」「佐藤 花子」のように同姓の候補者がいて、「佐藤」と記載して投票した場合
  • 「伊藤 太郎」「佐藤 たろう」のように同名の候補者がいて、「たろう」と記載して投票した場合
  • 「佐藤 太郎」「佐東 たろう」のような同姓同名の候補者がいて、「さとう たろう」と記載して投票した場合

なお、按分については候補者間だけでなく、比例代表の投票における政党名についても同様の扱いがされます。

無効票との違いは?

按分票と同じく、1人1票にも関わらず特定の候補者の得票とならないケースに、無効票(無効投票)というものがあります。

無効票とは文字通り誰の得票にもならない無効とされる票のことであり、所定の投票用紙に適切な記載で投票を行わなかった場合に無効となります。

無効票となってしまうケースには、大別して以下のような場合が挙げられます。

  • 所定の投票用紙を用いない票
  • 候補者でないものの名前を書いた票
  • 複数人の候補者の名前を書いた票
  • 候補者の名前以外に他事を書いた票
  • 候補者の名前を自書していない票
  • どの候補者の氏名を書いたのか確認できない票
  • 単に雑事を記載した票
  • 白票(白紙投票)

無効票についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事でわかりやすく解説しているのでぜひ参考にしてみてください!

選挙で無効票になるのはどんな票?白票を投じる意味や画像例も

 

按分票にしないための注意

せっかく投票に行くなら、投票したかった候補者にきちんと投票したいですよね。

按分票にならないために気をつける点をまとめると、以下のとおりです。

  • 候補者のフルネーム・通称を間違えずに記載する。
  • 年齢や政党、居住地域などと合わせて記載する。

まず、大前提として、候補者のフルネームもしくは通称を省略したり書き間違えたりしないで記載する事が挙げられます。

ただ、同姓同名の候補者が複数いる場合などにはそれでは対応しきれませんよね。その場合、以下の項目からいずれかを追記することが有効です。

  • 年齢
  • 居住地域の地名
  • 職業
  • 所属政党

ただし、何でも書いていいというわけではないので注意してください。

公職選挙法では、投票用紙に不要な記載をした場合には以下の通り、不要な事項を記載すると無効票として扱うと決まっています。ただし、上記の項目については記載が認められているため、投票先を判別できるように活用できます。

衆議院名簿届出政党等の第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称及び略称のほか、他事を記載したもの。ただし、本部の所在地、代表者の氏名又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。

公職選挙法 | e-Gov法令検索

按分票の計算方法とは

按分表の計算方法は比例配分

続いて、按分票の計算方法について解説します。

まず、よくある間違いとして、対象となる候補者・政党で等分するという説がありますが、これは間違いです。

正しくは、対象となる候補者・政党で、得票数に応じて比例配分を行います。

なお、按分票については計算過程で少数第4位以降は切り捨て処理されるため、単に各候補の最終的な得票数を足しても整数にならない場合があります。この切り捨てられる票を按分切り捨て票といいます。

それでは、計算方法について具体例とともに見ていきましょう。

例えば、「佐藤 太郎」と「佐藤 花子」という2人が立候補している選挙で、以下の表のような投票が行われていたとします。

投票先

票数

佐藤 太郎

600票

佐藤 花子

400票

佐藤

100票

この時、「佐藤」と書かれた100票はどちらの票かわからないため、按分の対象となります。

この時点で、明確になっている得票数が佐藤 太郎さんは600票、佐藤 花子さんは400票です。

そのため、比例配分は佐藤 太郎さんが6割、佐藤 花子さんが4割であり、按分票は佐藤 太郎さんが60票、佐藤 花子さんは40票となります。

最終的な得票数は、佐藤 太郎さんが660票、佐藤 花子さんが440票という形で開票が完了するわけですね。

按分票が話題となった事例は?

按分票が話題の選挙の例

最後に、実際の選挙で按分票の対象となるような候補者が話題になった例を見てみましょう。

東京都知事選2024に2人の「石丸」氏で話題に

2024年7月7日投開票の東京都知事選挙では、無所属で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏と、諸派(石丸幸人党)で医師の石丸幸人氏の2名(50音順)が立候補して話題になっていますね。

SNS上では、「石丸と投票すると無効票になるからフルネームで投票しましょう」といった投稿も散見されますが、この情報は前半部分は間違いです。

正しくは、「石丸」と記載した場合には、石丸伸二氏と石丸幸人氏で按分されることになります。

そのため、あなたの投票したい石丸氏に確実に1票を投じるという意味では、フルネームで投票することが重要という点については正しいと言えます。

 

衆院選2021で島根1区に2人の「かめいあきこ」氏

2021年に行われた衆議院議員選挙では、島根1区に立憲民主党で元参議院議員の亀井亜紀子氏と無所属で主婦の亀井彰子氏が立候補し、2人とも読みが「かめいあきこ」と同姓同名であったため話題になりました。

先に出馬表明していた亀井亜紀子氏は通称を「亀井あきこ」から「かめい亜紀子」に変更し、ポスターやはがきなどの修正対応に追われたとも、当時報道されています。

また、按分の対象とする基準については、公職選挙法に則り各開票所の管理者に一任されていたとのことで、現場の負担も伺われます。

この選挙では、自民党の細田氏も立候補していたことから、島根県選挙管理委員会は「同姓同名の2名に注目が集まると公平性を欠く」「判断については各開票所の管理者の決めることで回答する立場にない」として、按分票の総数については明らかにしていません。

 

衆院選2021で比例投票に2つの「民主党」

おなじく2021年の衆議院議員選挙では、比例代表の投票においても按分にまつわる混乱が生まれました。

まず前提として、比例代表の投票は、候補者名もしくは政党名での投票となっています。比例代表制の詳細について知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
比例代表制と選挙区制の違いをわかりやすく解説

2021年の衆議院議員選挙では、国民民主党と立憲民主党がともに「民主党」という略称を使用したため、全国で362万6,320票が按分対象になりました。

結果としては国民民主党に66万8,116.241票、立憲民主党に295万8,201.722票が比例配分で按分されました。

参考:総務省|令和3年10月31日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報資料

 

按分票は無効ではないが、明確に候補者名を投票しよう

得票数に小数点を生む理由である按分票。

あなたの1票が無効になるわけではないですが、せっかく投票するのであれば、選んだ投票先に1票まるごと投じたいですよね。

投票の際には、ぜひ按分票にならないよう注意して記入をしてください!

この記事で解説した無効票については、Instagramでも図やイラストを交えてわかりやすく解説しています。文章を読むよりもパッと内容を確認したいという人は、ぜひInstagramをご覧ください!

よくある質問

按分票とは?

按分票とは、選挙の際に、1つの選挙区で姓や名、略称などが同一の候補者・政党があった場合に発生するどの候補への投票かわからず、複数の投票先に分配される票を指します。

また、この分配を按分といいます。

按分票の計算方法は?

按分対象となる候補者・政党で、得票数に応じて比例配分を行います。

なお、按分票については計算過程で少数第4位以降は切り捨て処理されるため、単に各候補の最終的な得票数を足しても整数にならない場合があります。この切り捨てられる票を按分切り捨て票といいます。

この記事を書いた人

武本 裕紀

Youth Vote! HIROSHIMA 共同代表。 広島在住のフリーランス。 大学進学で広島にやってきて今に至る。 在学中の経験から政治に興味を持ち、政治家の広報を手掛けたり、選挙を手伝うなど様々な現場を経験。 気軽に政治に触れられる機会が足りないとの思いから当メディアを設立。
著者情報ページ

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武本 裕紀

Youth Vote! HIROSHIMA 共同代表。 広島在住のフリーランス。 大学進学で広島にやってきて今に至る。 在学中の経験から政治に興味を持ち、政治家の広報を手掛けたり、選挙を手伝うなど様々な現場を経験。 気軽に政治に触れられる機会が足りないとの思いから当メディアを設立。
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