小選挙区制とは?小選挙区比例代表並立制や広島の選挙区割も解説

小選挙区制とは?小選挙区比例代表並立制や広島の選挙区割も解説

日本の衆議院選挙で導入されている小選挙区制とはなにか、どうして導入されているのかと訊かれると、あなたはすぐに答えられますか?

小中学校の社会科でも習うこの選挙制度、いざ考えてみると、なぜこんな制度なのかということがわからない人は多いはず。

そこでこの記事では小選挙区制とはどのような制度なのか、メリットやデメリットはどのような点なのかはもちろん、衆議院で導入されている小選挙区比例代表並立制や広島の小選挙区についても徹底解説します!

小選挙区制とはどんな制度?

小選挙区制とはどんな制度?

小選挙区制は、端的に言えば得票の一番多かった1人を当選とする選挙制度です。
日本では、衆議院議員選挙で比例代表制と共に導入されていますね。

小選挙区制は選挙区制と呼ばれる選挙制度の一つです。選挙区制は、地域を特定のエリア(選挙区)に分けて、そのエリアで得票数の多い順に候補者が当選する仕組みで、当選する人数によって小選挙区、大選挙区、(中選挙区)に分けられます。

そもそも選挙区制とはどのような制度なのか?という疑問を持たれた方は、以下の記事で選挙区制について解説しているのでぜひ参考にしてみてください!

選挙区制とは?比例代表との違いや広島の選挙区も簡単解説

ここからは、小選挙区制の特徴についてメリットとデメリットという点からご紹介します。

小選挙区制のメリット

小選挙区制のメリット

小選挙区制のメリットは以下の3点が挙げられます。

  • 長期的な政権運営が可能
  • より地方密着な候補者を出しやすい
  • 選挙費用が抑えられる

これらのメリットは、選挙区が狭いことと当選者が1人であることが背景にあります。

長期的な政権運営が可能

小選挙区制のメリットの1つめが、長期的に安定した政権運営が狙いやすいということです。
その理由は、小選挙区制では各選挙区から1人だけが当選するという仕組みにあります。
政権を担う大政党は支持者が多いため、1位を取りやすいのが現実です。

一方で、最近SNSで人気の出る新しい政党・政治団体も多いですが、選挙区での当選はあまり見かけないですよね。
これは、全国に薄く支持者が散らばった結果、各選挙区で1位をとるのが難しいためです。

大選挙区制であれば、2位や3位でも当選できる場合に大政党でなくても下位で当選が狙えるので、小さな政党や政治団体には大選挙区制の方が嬉しいですね。

また、比例代表制でも同じく、政党への票が集まればその政党に議席が割り当てられるので、小選挙区よりも小さな政党や政治団体に優しいですね。

まとめると、小選挙区は大政党に有利な仕組みだと言えます。

より地方密着な候補者を出しやすい

小選挙区制の2つ目のメリットは、地域に根差した候補者が多いという点です。
これは、それぞれの選挙区が比較的狭いことが背景にあります。

小選挙区は、基本的には選挙区1つ(正確には議席1つ)当たりの有権者数がなるべく同じになるように分けられています。選挙区の分け方について詳しくはデメリットのところで解説しますね。

そのため、比例区や参議院選挙等に比べてそれぞれの選挙区が狭いのが特徴です。
これにより、各選挙区でその土地のために働こうという候補者が出馬する傾向にあります。

例えば、広島では現在参議院選挙では県全体が選挙区ですが、衆議院では7選挙区です。
そのため、極端な言い方をすると参議院議員では衆議院議員の7倍のエリアをカバーするため、なかなか各地域を見られないということですね。

選挙費用が抑えられる

小選挙区制の3つ目のメリットは、立候補の際に選挙費用が抑えられるという点です。
これも、選挙区が狭いからですね。

選挙費用の例としては、広ければ移動距離が増えたりホテルなどの宿泊が増えるというのはわかりやすいポイント。他にも、対象となる有権者が少ない分、印刷物や郵送などの費用も押さえられます。

具体的な金額で見ていくと、県の選挙管理員会が定めた選挙運動費用の上限は、以下のように直近の参議院選挙と衆議院選挙ではほぼ2倍の差がありますね。

  • 2022参院選では、4689万1500円
  • 2021衆院選では、2408万3586円

参考元は、以下の広島県選挙管理委員会の発表です。
参議院:広島県選挙管理委員会告示第六号
衆議院:広島県選挙管理委員会告示第十八号

このように、志のある人がより出馬をしやすいのが小選挙区制のメリットの1つといえますね。

小選挙区制のデメリット

小選挙区のデメリットとは?

続いて、小選挙区制のデメリットは以下の4点が挙げられます。

  • 死票が生まれやすい
  • 組織票が強い
  • 癒着の可能性1票の格差が生まれやすい

これらのデメリットも、発生する背景にはやはり選挙区が狭いことと当選者が1人であることが影響しています。

小選挙区制では死票が生まれやすい?

小選挙区制のデメリットの1つ目は、死票が生まれやすいという点です。

死票というのは、落選した人に投票された票のことです。議席に直接かかわらなかったので「死んだ」票という言い回しになる訳ですね。

小選挙区制では、当選するのは1位の1人だけです。そのため、2位以下の人への票はすべて死票となってしまいます。特に1位と2位が接戦だった時などには問題視する声も多くなりがちですよね。

これは言い換えれば、少数意見や選挙の大きな争点以外の政策を掲げている候補者は当選が難しく、より大衆受けする公約を掲げる1人が当選する、と見ることもできます。

複数人が当選する大選挙区制では、当選人数が多い分死票も減りますし、得票数(得票率)に比例して議席が分配される比例代表制でも死票は少なくなります。そのため、比較すると小選挙区のデメリットとして挙げられます。

組織票が強い

小選挙区のデメリットの2つ目は、組織票の影響が強いという点です。
これは、メリットで挙げた大政党が強いという点と近いですね。

小選挙区は狭いため、言い換えると有権者の母数が少ないのが特徴です。そのため、特定の企業や団体などの組織票が有権者の総数に占める割合が大きくなります。

また、この傾向は投票率が下がるほど顕著になります。なぜなら、個人が投票に行かなくなってもこういった組織票は計画的に投じられるためです。その結果、投票数に占める組織票の割合は、投票率(つまり投票数)が下がるほど大きくなります。

加えて、組織票が強くなるということはそれだけ、その組織票を持つ企業や団体の影響力が高まるのも問題点です。極端に言えば、組織票が欲しい政治家と票を持つ組織が癒着するリスクも高まってしまいます。

1票の格差が生じやすい

小選挙区制のデメリットの3つ目は1票の格差が生じやすいという点です。
小選挙区では、選挙区内の有権者数がなるべく同じになるように割り振られているのですが、人口の増減などによって有権者数に差が生まれていきます。

その結果、「選挙区Aでは当選に1万票必要だけど、選挙区Bでは5千票でいい」といった具合に当選に必要な票数が変わってしまうことも。

これはつまり、選挙区Aの1票は選挙区Bの0.5票分の価値しかない、ということになってしまいます。

1票の格差について、詳しくはこちらの記事で解説しているので、興味のある人はぜひ読んでみてください。

1票の格差とは?問題点や解決策、広島への影響も解説

小選挙区比例代表並立制とは?比例区との違いも!

小選挙区比例代表並立制とは

衆議院では、議席の一部を小選挙区制で、残りを比例代表制で割り振る小選挙区比例代表並立制が導入されています

衆議院での小選挙区と比例区の違い

衆議院選挙での小選挙区制と比例区の違いとしては、大きく分けて以下の2点が挙げられます。

  • 当選する人数
  • 投票先が候補者か政党名か

まずは当選する人数ですが、小選挙区では1人、比例区では区によって異なります。
また、投票先についても、小選挙区では候補者名ですが、比例区では政党名を記入することになります。

比例区とは何かについて、詳しくはこちらの記事で解説しているのでぜひ参考にしてみてください!

比例代表制と選挙区制の違いをわかりやすく解説

小選挙区比例代表並立制の特徴は?

衆議院選挙で採用されている小選挙区比例代表並立制の特徴としては、大きく分けて以下の2点が挙げられます。

  • 小選挙区で負けても比例区で復活が可能
  • 小選挙区と比例代表のいいとこどり

まず、比例復活についてですが、衆議院の小選挙区比例代表並立制では、選挙区と比例代表の両方に重複して立候補が可能です。
そのため、場合によっては
小選挙区で落選しても比例代表で当選する可能性があります。

また、2つの制度を組み合わせているため、それぞれの長所を生かしたり短所を補うことができます。例えば、死票が多いという小選挙区のデメリットを比例復活で補う、等が挙げられますね。

 

広島の小選挙区割はこんな感じ

広島の小選挙区割の図

続いては、広島の小選挙区がどんなふうに分割されているのかを簡単にご紹介します!

2022年時点で、広島の衆議院の小選挙区は7つに分かれています。

1区

広島市(中区・東区・南区)

2区

広島市(西区・佐伯区)・大竹市・廿日市市・江田島市(江田島町は除く)

3区

広島市(安佐南区・安佐北区)・安芸高田市・山県郡(安芸太田町・北広島町)

4区

広島市(安芸区)・三原市(大和町)・東広島市(安芸津町は除く)・安芸郡(府中町・海田町・熊野町・坂町)

5区

呉市・竹原市・三原市(本郷町)・尾道市(瀬戸田町)・東広島市(安芸津町)・江田島市(江田島町)・豊田郡(大崎上島町)

6区

三原市(大和町と本郷町は除く・尾道市(瀬戸田町は除く)・府中市・三次市・庄原市・世羅郡(世羅町)・神石郡(神石高原町)

7区

福山市

しかし、次回の衆議院選挙の前に選挙区の再編があるため、この選挙区割りは変更され、1つ減って6つの区になります。

広島の選挙区割や選挙区再編については、こちらの記事で詳しく解説しているので広島在住の方はぜひ見てみてください!

広島の選挙区割りを徹底解説!2022年以降の変更も?

 

小選挙区制にも長所・短所がある!

小選挙区とは何かについてまとめてきましたが、疑問は解決できましたか?小選挙区制がどんな制度なのか、その特徴はどんなのか、意外と知らなかったという人も多いのではないかと思います。

地域に寄り添う政治家を輩出できる反面、死票が生まれやすいというデメリットもある小選挙区制ですが、うまく良い部分を生かしていきたいですね。

もしも他にも何か知りたいことがあればぜひコメントをSNSやコンタクトフォームからお寄せください!

よくある質問

小選挙区制とはどんな制度?

小選挙区制とは、その選挙区内で1人だけが当選する制度です。
地域に根ざした議員が出やすいなどのメリットの反面、死票が出やすいなどのデメリットもあります。

小選挙区では死票が生まれやすいの?

小選挙区制では死票が多く生まれやすいです。

というのも、1人しか当選しないため、2位以下の候補者への投票はすべて死票となってしまうという仕組みになっています。

小選挙区比例代表並立制ってなに?

日本では衆議院議員選挙で導入されている仕組みです。 
総議席数のうち、一部を小選挙区で、残りを比例代表でそれぞれ分配します。

小選挙区で落選しても比例代表で復活できるなどの特徴があります。

この記事を書いた人

武本 裕紀

Youth Vote! HIROSHIMA 共同代表。 広島在住の大学生・フリーランス。 大学進学で広島にやってきて今に至る。 在学中の経験から政治に興味を持ち、政治家の広報を手掛けたり、選挙を手伝うなど様々な現場を経験。 気軽に政治に触れられる機会が足りないとの思いから当メディアを設立。
著者情報ページ

この記事を書いた人

武本 裕紀

Youth Vote! HIROSHIMA 共同代表。 広島在住の大学生・フリーランス。 大学進学で広島にやってきて今に至る。 在学中の経験から政治に興味を持ち、政治家の広報を手掛けたり、選挙を手伝うなど様々な現場を経験。 気軽に政治に触れられる機会が足りないとの思いから当メディアを設立。
著者情報ページ