今回は、大竹市議会の中野友博議員にインタビュー。
自身のキャリアと政治家という道が交差したきっかけや、精力的な発信に込められた思い、地方政治家という選択肢についてお話しいただきました。
アフタートークを含む全編動画はこちらからどうぞ。
目次
中野 友博
1986年、大竹市生まれ。東洋大学文学部史学科を卒業後、2010年に家業である有限会社中野自動車にUターン。2016年より一般社団法人大竹市青年会議所に入会し、大竹市の地域課題の解決に取り組む。2023年には大竹市議会議員選挙に無所属で出馬し当選。取材時現在、大竹市議会議員1期目。
きっかけは、人の役に立つ喜びと、行政の限界
政治家という選択肢が生まれたきっかけとしては、大竹市青年会議所という団体で、子どもたちのキャンプや地元のお祭りなどを企画したりと、地域のために活動をしていたことが大きいですね。
大竹で生まれたにも関わらず、それまではあまり大竹のことを知らなかったんです。それが、青年会議所に入って地域のために活動する中で、この地域や人の魅力などを知って愛着が湧きました。
そんな中で、2020年に新型コロナが流行して、街の状況が一変した。これが、政治の道へ進もうと思った大きなきっかけでした。
それまでの活動の延長で多くの事業者さんと繋がっていた中、特に飲食店さんからお客さんが全然来なくて困っているという話をいただいたんです。
そこで、「おおたけテイクアウト」というテイクアウト事業を企画しました。市役所に企画書を持ち込んで、官民連携で飲食店さんをしっかりサポートしようというプロジェクトを立ち上げたんですね。
今では当たり前かもしれませんが、当時はテイクアウトという文化がなかった中で、とても喜んでもらえたのが嬉しくて。私たちの若い力が形になって、人の役に立てるんだなって実感が得られたことは大きかったです。
もう1つ、2021年に新型コロナのワクチン接種が始まったときの話もあります。
当時はご高齢の方が先行して予約・接種するという中で、ご高齢の方から「打ちたいけど予約が取れない」というご相談があったんです。
予約はWebと電話の2つの方法がある中で、電話は回線が混み合ってなかなか繋がらず、Webはご高齢者だけでは予約の仕方がわからない、という状態でした。
そこで、若いメンバーを集めて高齢者の方のWEB予約サポートをするという企画書を市役所に持っていき、実施したんです。
全国的に見てもかなり先駆けての実施だったのですが、結果としては220人の方が来られて、無事に全員が予約・接種をできたという形で終えることができました。
この2つの経験は私にとって結構大きなもので、2つの想いが生まれたんです。
1つは、地域で困っている人がいる中で、自分たちの行動が役に立って、喜んでもらえたということへの喜び。
もう1つは、社会が激変していく中で様々な課題も生じていき、行政だけではもう全てに対応できないなという懸念です。
そんな中で、じゃあどうやったら大竹が安心安全に暮らせる街になるんだろうと考えたときに、1つの選択肢として政治家を目指すようになりました。
なので、もともと政治家を目指していたわけではなく、地域で活動していく延長に政治家という選択肢があったというような形ですね。
大竹市議会議員を、子どものなりたい職業1位に
私は、政治家っていう職業は全然特別なものではないと思っているんです。
例えば、自動車の修理業だったら、自動車を直すことや車が好きだからその仕事に就きますよね。
政治家も、自分の街に今まで育ててもらったから次の世代に良くしていきたいという思いがあって、やってみようというところからです。
実際に私も地域活動の延長で政治家という道に入りましたが、普段からそういう活動をしている人にとっては、生活が変わったり、周囲から反対されたりといったハードルも少ないと思います。
実は、僕が市議会議員を志したきっかけの1つに、今の福岡市の高島宗一郎市長の本を読んで感銘を受けたというのがあります。
地方から日本を元気に、ということをよく言われているのですが、地元を大切にされて、こんなに熱心に動いてる政治家の方がいるんだなって。
この人と一緒に仕事をしたいとか、この人と地方を変えたいみたいな憧れですよね。そういう、憧れられるかっこいい人に出会えたことは、僕にとって大きかったです。
例えば、野球選手を目指す人は大谷翔平さんを見て憧れたりとか、キャリア選択の動機ってみんな一緒だと思うんですよね。
多分、立候補に尻込みする人がいたり、普通のキャリアの選択肢に政治家が挙がりにくいのは、政治家っていう言葉が結構固くて重い感じがするからな気がします。
でも、全然そんなことはないし、「あなたにもできるよ」とか「やってみよう」っていうのは普段からよく話していますね。
投げっぱなしじゃない情報発信
なにか街への不満がある人って、本当は届いてない・わからないから不満って思ってる人が多いんです。これってすごくもったいないと思うんですよね。
私は市政報告会では前後半に分けて、市議会議員の仕事と、今の大竹市が取り組む課題の最新情報を話すようにしています。
もう次で15回目なんですが、実際にやっていて、大竹って今まで何してるのかよくわからなかったけど、すごいことしてるんだね、みたいな反応をいただいています。
大竹に限らずですが、市がやっていることとかを噛み砕いてわかりやすく説明できる、まとめ記事みたいな議員さんって全国的にも少ないと思うんですよ。
でも、噛み砕いた情報じゃないとみんな興味がなくなるじゃないですか。だから、私はそれをやっていくことで地元で大竹市のファンを増やすような活動に力をいれています。
もう1つ、私はSNSでの発信について評価をいただくことも多いんですが、InstgramとかFacebookとかは、自分でもどこの街の議員さんにも負けていないと思っています。
特に、投げっぱなしの発信ではなく、SNS発信で地域の人に対してフックを作るというのを意識していて。
例えば、子育てについての発信をしていたら、「この前中野さんは子育ての発信してたよね。実は、私は子育てについてこういう活動をしていて、こんな事もできないかな」みたいなご連絡を頂いたりとか。
SNS発信でフックを作って、地域の方とのコミュニケーションにつなげていくということを重視しています。
昔は、各地区で「困ったらこの人に話を」という拠点になる人がいましたが、今は高齢化などで減っていて、でも増やしていかなきゃいけないと思っているんです。
そんな中で、情報発信をしていくことで街の課題を自分事として捉えて参画してくれるコアな参画者を増やしたいんです。
若者イコールSNSと言われたりしますが、一番面白いのは、一番勉強になるし一番熱量が伝わるのはやっぱり現場なんですよね。
だから、SNSでフックを作って地域の人とコミュニケーションを取りに行く、いわば空中戦と地上戦の両軸での情報発信に力を入れています。
若い世代の人たちへ – カッコいいと思える人を見つけてほしい
まずお伝えしたいのは、市議会議員の仕事ってめちゃくちゃ楽しいよってことです。めちゃくちゃやりがいがあります。
街が変わっていくのを間近で見られて、自分の声を直接行政に伝えられ、それで喜んでくれる人がいるというのはとてもおもしろい仕事だなって思います。
僕は29歳で結婚したんですが、社会人になって25歳くらいまでは、仕事に対する考えは自分の欲を満たすっていうようなことでした。いい服を買ったり旅行をしたりとか。
でも、25歳になってそれまでを振り返ったときに、結婚したりいろんな責任を背負ってる人を見ると、「自分の欲だけで終わる人生ってなんだろう」ってふと感じる瞬間が来たんです。
いまこれを見ている10代・20代の人は、まず自分が幸せにって思ってるかもしれませんが、自分の満足度よりも、自分の周りが幸せになる方が何倍も仕事って頑張れるなって思うんです。
そして、こんなにも地域の人に喜んでもらえて、自分の行動で人を動かせる仕事って地方政治家しか無いなと僕は本当に思っています。
今後もし、キャリアの選択肢に迷ったりすることがあれば、カッコいいと思える人を、この人を超えたいって思う人を見つけてみてください。
私にとってはそれが福岡市の高島市長であり、今こうして地方政治家を選んで良かったと、面白い仕事だと自信を持って言えるので。
もう1つお伝えしたいのが、私が昔から意識していることとして、勝てるところでしっかり勝つという考え方です。
例えば、地方議会においては情報発信が不足しています。だから、私みたいに1年目の人が「こんな事が起こっている」「議員はこんな仕事をしている」というだけでも、他の議員にない1つの強みになると思うんですよ。
でも、IT業界とかのSNSに強い人がたくさんいる中では、頭一つ抜けるのは難しかったりするわけです。
自分の武器を持って、どう社会で戦っていけるのか。
勝てるところで勝つとか、自分が強いと思ってるところで勝つという考えも必要だと思うし、どんどん若い人にはそういう考えでチャレンジしていってほしいなって思います。
最後に、地方議員としてお伝えしたいのが、自分たちの街を変える、自分たちの街を良くするのはもう君たちの世代なんだよっていうことです。
街を動かして、それを見届けられるというのは、上の世代にはできない若者の特権なんです。
自分の力で街を少しでも良くするっていうのは、みんなにある権利なんですよ。
インタビュアーより
テレビ収録で初めてお会いしてからインタビューのお願いをしたのですが、いい意味で政治家っぽくない方だなというのがお話しての率直な印象です。
課題や必要性を見つけたら、まず自分が率先して動くというのがお聞きしたエピソードからも現在の活動からもにじみ出ていて、年下のはずの自分よりもエネルギッシュで、改めて身が引き締まる思いでした。
なにか課題解決のために、より良い街のためにという活動はもちろんのこと、そこにどんどん若い世代、周りの人を巻き込んで動いていこうという姿勢に、私たちもより一層頑張らねばと再確認させていただきました。
実は今回から始まったインタビューコンテンツの動画化についても、「実は今回からで色々と拙い部分があるかもしれないのですが」とお伝えしても「全然いいよ」と快諾して頂いて、非常にありがたく思っております。
私たちYouth! Vote HIROSHIMAも、より多くの若い世代を巻き込んでいけるように頑張らなきゃと再度思わせていただいたインタビューでした!
Youth Vote! HIROSHIMAのインタビュー
Youth Vote! HIROSHIMAでは、以下の2つの目的で政治や選挙の現場に携わる方々にインタビューを実施しています。
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