7月3日から20日の投開票日にかけて行われた参議院議員選挙。誰がどういう立候補者なのか全員をチェックするのが大変だったという人が多かったのではないでしょうか。
Youth Vote! HIROSHIMAでは、参議院議員選挙の立候補者に、今回の選挙の争点や、力を入れている政策などについてアンケート調査を実施しました。
この記事では、立候補者たちがどのような意識を持っていたのかを統計的に分析してまとめています。
今回の選挙でどんな立候補者がいたのか俯瞰的に見る機会としてぜひ読んでみてください!
目次
参議院議員選挙2025 広島選挙区立候補者アンケート調査概要
まず、今回実施したアンケートについて簡単にご説明します。
アンケート項目
今回のアンケート調査では、下記の項目について質問しました。
- 1.最大の争点
- 2.質問1以外の争点
- 3.注力している政策分野
- 4.出馬へのきっかけ
- 5.参議院議員選挙の理由
- 6.意気込み
- 7.10代・20代に一言
- 8.活用しているSNS
詳細については下記のリリースをご覧ください。
2025年参議院議員選挙に際し、立候補(予定)者に対するアンケート調査を実施
実施方法
本アンケート調査の調査期間は、6月16日から7月5日の期間としました。
なお、3名の未回答者のうち1名は、後日回答する旨の連絡はいただきましたが回答期間終了時点で回答をいただいておらず、別の1名に関しては一部設問への回答については後日回答する旨を通達されましたが、こちらも回答期間終了時点で回答をいただいておりません。
そのため、当該回答については、その旨を明記したうえでSNS及びWeb上に公開しておりますが、今回の分析対象には含まれておりません。
調査に関しては、下記の連絡手段を用いて各立候補者に対して回答を依頼しました。
- FAX
- メール
- SNSダイレクトメッセージ
選挙管理委員会の公開資料及び各立候補者の発信から上記の連絡先を収集し、FAX及びメールの両方、もしくは確認できたどちらか一方にて調査協力を依頼しました。
FAX及びメールアドレスが入手できなかった場合には、FacebookをはじめとするSNSのダイレクトメッセージにて、GoogleフォームのURLと共に調査協力を依頼する形で実施しています。
なお、報道などを通じてYouth Vote! HIROSHIMAが立候補の意向を把握した段階で、6月15日以降に順次回答依頼を行っているため、回答依頼から回答期限までの日数は立候補者によって異なる状況でした。
回答方法は下記のとおりです。
- FAX
- メール
- SNSダイレクトメッセージ
- Googleフォーム
対象者
2025年参議院議員選挙において、広島県選挙区に出馬した10名の立候補者を対象としました。
なお、広島県選挙区の各立候補者の回答内容については下記の記事で原文を公開しておりますのでご参照ください。
2025年参議院議員選挙【広島県選挙区】の立候補者アンケート結果
7名の立候補者から回答をいただきました
今回のアンケート調査実施にあたり、7名の立候補者の方に回答をいただきました。回答いただいたみなさまには大変感謝申し上げます。
今回の調査における回答者の内訳について簡単にまとめていきます。
回答数は下記の通りです。
立候補者数 | 回答者数 | 回答率 |
---|---|---|
10 | 7 | 70.00% |
回答の分析方針及び設問設定意図について
回答の分析方針及び設問の設定意図についてご説明します。
回答の分析方針
回答結果の分析については、下記の手順で実施しました。
- 回答の集計
- 各項目を、類似項をまとめて分類
- 分類の回答数及び割合を算出
- 回答数1の項目は「その他」に統合
事前に分類項目を用意する形ではなく、類似項をまとめる形としています。
そのため、他の団体などによる調査では用意されているであろう回答分類がない、あるいは各分類の粒度には若干のばらつきがございます。
なお、分類において極力主観を排除するため、複数名での妥当性の確認を行いました。
なお、1つの回答に複数分類の要素がある場合には、その回答を複数分類に該当するものとして処理をしているため、分析結果の総数と回答総数は一致しない場合がございます。
設問設定意図について
各設問は原則として記述式での回答を依頼しております。理由としては、選択肢に縛られず柔軟な回答を求めるということが第一としたためです。
選択式にすることによって、回答者の考えとは異なる回答に誘導することの無いようにとの配慮から、記述式での調査とした。
参院選2025広島の立候補者アンケート結果を分析
今回のアンケート調査の結果についてご紹介していきます。該当項目は下記の通りです。
- 最大の争点
- 質問1以外の争点
- 質問1・2の争点の合算
- 注力している政策分野
- 出馬のきっかけ
- 参議院議員選挙の理由
- 活用しているSNS
なお、立候補者全体で何を争点と捉えていたかを可視化するため、「1.最大の争点」「2.質問以外の争点」を合算した内容についても「争点の合算」として合わせて分析しています。
1. 最大の争点
各立候補者に、今回の選挙での最大の争点は何と捉えているかを質問しました。
設問は「今回の選挙において、最大の争点(有権者から注目されているポイント)は何だとお考えですか?」という文であり、回答は自由記述形式でした。
集計結果
回答内容に応じて類似項をまとめた分類項目は下記の通りです。
なお該当数1の回答について、合算時の扱い(質問2で同様の回答があるため)として別項目としました。
- 物価高騰対策
- 政治の信頼性
- その他
それぞれの回答数と割合をまとめたのが下記の表になります。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
物価高騰対策 | 6 | 85.71% |
政治の信頼性 | 1 | 14.29% |
その他 | 1 | 14.29% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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集計結果について
回答者の7人中6人が「物価高騰対策」について、最大の争点として挙げました。
「物価高騰対策」に関する回答内容を見ると、特に消費税の減税および廃止について言及している候補者が多く見られました。
物価高騰対策は広島のみならず、全国でも話題になっておりその影響で最大の争点としている立候補者が多いのではないかと考えられます。
2. 質問1以外の争点
各立候補者に質問1で挙げたもの以外に何を争点と考えているのかについて質問しました。
設問は「今回の選挙において、上記(1.最大の争点)以外でどんな点が有権者から注目されているとお考えですか?」という文であり、回答は自由記述形式でした。
集計結果
回答内容に応じて類似項をまとめた分類項目は下記の通りです。
- 軍拡・平和
- 物価高騰対策
- 政治の信頼性
- その他
それぞれの回答数と割合をまとめたのが下記の表になります。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
軍拡・平和 | 4 | 57.14% |
物価高騰対策 | 3 | 42.86% |
政治の信頼性 | 2 | 28.57% |
その他 | 1 | 14.29% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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集計結果について
全体で「軍拡・平和」「物価高騰対策」について争点として挙げた立候補者が多く、前項の最大の争点に関する質問とほぼ同じ結果となりました。
「軍拡・平和」に関する回答内容を見ると安全保障や防衛について言及する候補者が多く見受けられました。
ニュースでも防衛費増額が言及されていることもあり、それに関する争点に言及されたのではないかと考えられます。
3. 質問1・2の争点の合算
今回の選挙において各立候補者が重視する内容をより可視化するため、質問1の「最大の争点」および質問2の「質問1以外の争点」について合算して分析いたしました。
集計結果
回答内容に応じて類似項をまとめた分類項目は下記の通りです。
- 物価高騰対策
- 軍拡・平和
- 政治の信頼性
- その他
それぞれの回答数と割合をまとめたのが下記の表になります。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
物価高騰対策 | 7 | 100.00% |
軍拡・平和 | 4 | 57.14% |
政治の信頼性 | 3 | 42.86% |
その他 | 1 | 14.29% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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集計結果について
回答者全員が「物価高騰対策」について挙げていました。
争点について尋ねた2つの設問について、一方の設問で「物価高騰対策」に関する回答を、もう一方で「軍拡・平和」に関する回答をした立候補者が、7名中4名と多く見受けられました。
また同時に実施した10代・20代の有権者に対する投票意識調査でも、「税制改革・賃金上昇」を望む声が全体の2割と多く挙げられており、立候補者側の最大の争点と有権者側の望むことについて認識が一致していたのではないかと考えられます。
4. 注力している政策分野
各立候補者が力を入れている政策分野について質問しました。
設問は「あなたはどのような政策分野に力を入れていらっしゃいますか?1~3 点ほど教えて頂ければ幸いです。」という文であり、回答は自由記述形式でした。
集計結果
回答内容に応じて類似項をまとめた分類項目は下記の通りです。
- 経済
- 教育
- 軍拡・平和
- 社会保障
- その他
それぞれの回答数と割合をまとめたのが下記の表になります。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
経済 | 5 | 71.43% |
教育 | 3 | 42.86% |
その他 | 3 | 42.86% |
社会保障 | 2 | 28.57% |
軍拡・平和 | 2 | 28.57% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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集計結果について
全体では「経済」に注力していると回答した立候補者が回答者の7人中5人を占めていました。
「経済」では最大の争点と同じく、消費税などの「税金」について言及している立候補者が多く、物価高騰対策による政策が多い印象でした。
問1の最大の争点で、物価高騰対策と回答している多くの方が「経済」に関する政策について注力する回答内容が多く見られました。
5. 出馬へのきっかけ
各立候補者が今回の選挙で出馬した理由について質問しました。
設問は「立候補に至ったきっかけを教えてください。」という文であり、回答は自由記述形式でした。
集計結果
回答内容に応じて類似項をまとめた分類項目は下記の通りです。
- 今の政治を変えたい
- 他者からの推薦
- 自らの経験を活かしたい
- その他
それぞれの回答数と割合をまとめたのが下記の表になります。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
今の政治を変えたい | 4 | 57.14% |
その他 | 3 | 42.86% |
他者からの推薦 | 2 | 28.57% |
自らの経験を活かしたい | 2 | 28.57% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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集計結果について
立候補のきっかけについて、「今の政治を変えたい」との回答が7人中4人おりました。
特に、その回答内容では、「国会議員に一般国民・一般庶民の感覚が反映されない」や「与党の政治があまりにひどい」など今の国会議員や与党についての現状を変えるためと回答した候補者が多い印象でした。
6. 参議院議員選挙の理由
各立候補者が他の選挙ではなく参議院議員選挙に立候補した理由について質問しました。
設問は「他の選挙ではなく参議院議員選挙を立候補された理由を教えてください。」という文であり、回答は自由記述形式でした。
集計結果
回答内容に応じて類似項をまとめた分類項目は下記の通りです。
- 国の仕組みを変えたい
- 直近の選挙だから
- 政策本位で仕事がしたいため
- 他者からの推薦
- 地方の声を国政に届けたい
それぞれの回答数と割合をまとめたのが下記の表になります。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
国の仕組みを変えたい | 3 | 42.86% |
直近の選挙だから | 2 | 28.57% |
政策本位で仕事がしたいため | 1 | 14.29% |
他者からの推薦 | 1 | 14.29% |
地方の声を国政に届けたい | 1 | 14.29% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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集計結果について
全体で最も多い理由は「国の仕組みを変えたい」ことに関する回答が占めていました。
その中での回答内容は「より国民の意思が反映される制度に根本的に国の仕組みを変えていくこと」や「地方自治を変えたい」など様々でしたが、共通して国の仕組みの現状を変えたい候補者が多くいました。
7.SNS
立候補者が活用しているSNSについて質問しました。
設問は「SNSアカウントがございましたら、ご使用のSNS名およびID(URL)をご記入ください。Webでの結果公開時に併記させて頂きます。」という文であり、回答は自由記述形式でした。
集計結果
回答された媒体は下記の通りです。
- X(旧Twitter)
- Web
- YouTube
- TikTok
それぞれの回答数と割合をまとめたのが下記の表になります。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
3 | 42.86% | |
X(旧Twitter) | 3 | 42.86% |
Web | 2 | 28.57% |
2 | 28.57% | |
YouTube | 1 | 14.29% |
TikTok | 1 | 14.29% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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調査結果(Youth Vote! HIROSHIMA調べ)
また、SNSの活用状況については、回答者のみならず広島県内の全立候補者のSNS活用状況をYouth Vote! HIROSHIMAで調査いたしました。
調査により各立候補者が活用していることを確認できた媒体は下記のとおりです。
- X(旧Twitter)
- Web
- YouTube
- Threads
- 公式LINE
- TikTok
なお、Youth Vote! HIROSHIMAにて独自に調査したものになるため、この他にも確認できていない物がある可能性がございます。
各立候補者が使用している各媒体の件数と割合をまとめたのが下記の表です。
分類 | 件数 | 割合 |
---|---|---|
X(旧Twitter) | 9 | 25.71% |
6 | 17.14% | |
Web | 6 | 17.14% |
4 | 11.43% | |
YouTube | 4 | 11.43% |
Threads | 3 | 8.57% |
公式LINE | 2 | 5.71% |
TikTok | 1 | 2.86% |
この表を棒グラフに示したのが下記のグラフになります。
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集計結果について
アンケート回答で一番多かったのは、Instagram、X(旧Twitter)という結果になりました。
またYouth Vote! HIROSHIMAにて調査した結果では、「X(旧Twitter)」が比較的多い結果となっています。
この結果から立候補者の10名中9名と、ほぼ全員が利用していることが分かりました。
また、YouTubeやTikTokを利用している候補者もいるため今後は動画を利用する立候補者が多く現れるのではないでしょうか。
候補者の考えがより明確に!
参議院議員選挙2025での立候補者へのアンケート調査の結果、立候補者が有権者の意識をどのように想定しているのかが浮き彫りになりました。
また、「10代、20代への一言」を立候補者に質問したところ、立候補者からは「自らの要求に基づいて声をあげれば、政治や社会は変わります。一緒によりよい社会をめざしましょう。」、「これからの皆様が担う日本をどうつくっていくのか。ということを少しでも考えてもらいながら投票に行って頂ければと思います。」、「まずご自分の想いを届けてくれる人や党を選んで投票に行きましょう!」など政治参画をしてほしい・投票にぜひ行ってほしいという旨のメッセージを多くいただきました。
今回の分析結果を見て、立候補者や議員は普段どのような政策を考えているのかについて知る一助になれば幸いです。
最後になりましたが、今回の調査において回答に協力してくださった立候補者の方およびご協力いただきましたみなさまには重ねてお礼申し上げます。
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